Instrument Performance test 2018 No.02 TOKYO DYLEC 社内レポート
概要
HEPA& ULPAなどの高性能フィルタは病院、手術室、試験室、クリーンルームなどの施設や空気清浄機内に用いられている。そのようなフィルタは以下の規格でフィルタ捕集効率(及び透過率)や最大透過粒子径: MPPS(Most penetrating particle size)の計測が求められている。
• EN 1822‐3 (フラットシートメディア)
• EN 1822‐5 (パネル型)
• IEST RP‐CC001/007 (パネル型)
• MIL STD (キャニスター)
• ISO29463
TSI社製 model 3160フィルタ効率試験装置はこれらの計測を容易かつ迅速に求めることが可能な装置です。
本レポートでは市販のフィルタを入手し、フィルタ捕集効率および最大透過粒子径をmodel 3160で求めた。これらの結果を各フィルタメーカが提示している仕様と同等になるか確認した。こうすることにより、model 3160の計測性能を評価した。
注目ポイント
• 最大捕集効率99.999999% (透過率:最小0.000001%)まで検出可能
• サブミクロン領域の最大透過粒子径の検出 (対象粒子径: 15 nm~800 nm)
試験日時:2015年10月29日(木)
試験方法:Model 3160に以下3種のフィルタを順次セットし、①0.3μmの粒子に対する捕集効率及び②単分散粒子を用いた粒子径毎の捕集効率を計測した。
①の試験は各フィルタとも5回計測し、5回の平均値を求めた。また②の試験は0.03~0.3μmの範囲で5段階の異なる粒子径毎に捕集効率を計測し、MPPSを求めた。
※①の試験はフィルタB,Cのみ実施
<評価対象フィルタ>
フィルタA- ガラス繊維系フィルタA
フィルタB- ガラス繊維系フィルタB
フィルタC- 石英繊維系フィルタ
<試験粒子>
PAO(ポリアルファオレフィン)
<試験時のフィルタ面速>
約5.3 cm/sec
結果まとめ①
各フィルタのPAO粒子@0.3μmに対する捕集効率結果を以下にまとめる
※1 ASTMのD2986‐95Aで規定する、フィルタメディア100 cm2あたり32 ℓ/minの0.3μmDOP試験に準拠
※2 5回の平均値
結果まとめ②
各フィルタのPAO粒子@粒子径毎に対する捕集効率結果及びMPPSを以下にまとめる
結論:
・結果まとめ①に0.3μmのPAO粒子に対する捕集効率結果を記したが、各フィルタともメーカー仕様値と同等の捕集効率が得られた。また5回の計測値のバラつきは小さく、3160で得られる捕集効率の結果は再現性が高いと判断される。
・結果まとめ②に5段階の異なる粒子径に対する捕集効率結果を記したが、フィルタAでは0.1~0.2μm付近の捕集効率で低下が見られ、MPPSは0.14359μmであった。この粒径領域は拡散や慣性衝突による粒子ロスが比較的に少ないと考えられる。
・フィルタBとCのMPPSはフィルタA同様に0.1μm付近であり、結果より非常に高性能な捕集効率を有するフィルタであると考えられる。
・今回は粒子径を5段階に分けて試験を実施したが、最大12段階まで粒子径を設定できることからmodel 3160を用いることでより詳細な捕集効率曲線が容易に得られる。
その他:
・model 3160は上・下流の検出器として2台のCPC(model 3772)、また単分散粒子を選択する分級器としてDMA(model 3082+3081A)を用いている。 これらの機器は東京ダイレック社でメンテナンス及び校正サービスをすることが可能であり、 定期メンテナンスを実施することで各機器の精度を長期にわたり維持・管理することができる。
※本資料はこちらをクリックするとダウンロードできます。