PMセンサー PPS-DT( pegasor )の性能評価試験

概要:
この度、弊社パートナー会社のpegasor 社(ペガソー)は、従来販売してきた高速応答性を備えた排ガス粒子計測センサー、 PM センサー(モデル:PPS-M)に新しい機能を搭載し、より精度の高い粒子濃度計測が可能なセンサーPPS-DTを販売しました。
従来のpegasor 社 PPS-Mは計測対象となる排ガス等に含まれるエアロゾルの中位径および粒径幅をあらかじめ設定し、 DC センサーで検出された電流値から粒子濃度を算出する検出方法でした。
新しいpegasor 社PPS-DTは、基本性能を維持しつつ、ダイナミックトラップファンクションという新機能を搭載することで、エアロゾルの粒子濃度以外に中位径の情報も取得することができ、 DC センサーで、より精度の高い粒子濃度をリアルタイムに計測することができるようになりました。
100 Hzという高速応答性を備えた PM センサーは、エンジンベンチや、シャシダイナモでのエンジン脈動に合わせたトランジェントな計測に対応可能です。また、検出部のセンサー本体は小型軽量でありながら、マイナス20 ℃までの低温環境中に設置して排ガス中の粒子濃度を計測できる頑丈さがあります。
さらに、インターフェース類はシンプルな構造で取り扱いが非常に簡単です。
このように様々なモビリティ計測に必要な機能が備わっているPMセンサーは、モビリティの排ガス研究開発や、GPF/DPF/触媒開発等の簡易PN計測、RDE試験における低温環境での粒子濃度計測などに利用可能です。
本ダイレックレポートでは、PPS-DTの基本性能を把握するため、粒径分布計測器SMPS(粒子カウンターはCPC)を基準装置として利用し、PPS-DT、PPS-Mの性能比較を行いました。


◆PPS-DTのアプリケーション
・乗用車、大型車両等のエンジン排ガスPN/PM計測や、後処理開発(DPF,GPF,触媒開発など)
・エンジン耐久試験でのフィルタPN/PM堆積量の評価
・舶用エンジン、産業用エンジン等の排ガスPN/PM計測
・e-Fuel、代替燃料等の排ガス微粒子特性評価
・Sub23 nm 評価    など


1.PPS-DT の基本性能
小型、軽量で低温環境(マイナス20 ℃~)でのPN計測に対応した粒子個数濃度計測センサー。
排ガス計測における粒子濃度計測で課題となる粒子希釈等の前処理を必要とせず、エンジン排ガス中に含まれる微粒子状物質(PM)をダイレクトに計測することができます。
また、PN計測時の排ガス温度低下による水分凝縮影響を低減するための加熱構造をセンサー内に備えており、より正確な計測データの取得が可能です。
[PPS-DT]は、“ Dynamic Trap Function 機能”により、粒径分布中位径を計測することで、より精度の高い計測結果を得られます。
GPF/DPF研究開発、触媒評価や簡易排ガスPN計測などさまざまなエンジン研究開発に利用可能です。



2.PPS-DTの性能比較
排ガス中のスス粒子を模擬した粒子を発生できる炭素粒子発生器を使用して、粒子計測器で基準計測器として利用される粒径分布計測器SMPS(3938)とPPS-DTの粒子濃度および中位径の比較計測を行った。(SMPS粒径分布データあり)

◆計測条件
①計測機器

・マルチヒーティング希釈器 eDiluter Pro (DEKATI 社)
・粒径分布計測器 SMPS3938L76(TSI 社)
・炭素粒子発生器 GFG-1000(PALAS 社)※最新モデルは DNP digital 3000 (N2 ガスタイプ)
・PMセンサー PPS-DT(pegasor社)※新型
・PMセンサー PPS-M(pegasor社)※旧型


②計測フロー図


③設定
・炭素粒子発生器:発生流量約 6 L/min、キャリアガス アルゴンガス、
         発生粒径2つの粒径違いの分布を持ったエアロゾル
・マルチヒーティング希釈器:各計測器の可測粒子濃度内に収まるように希釈倍率を設定
・粒径分布計測器:吸引流量 約 1.5 L/min、粒径レンジ 6~224 nm
・PPS-DT、PPS-M 吸引流量 約 6 L/min、センサ加熱無し


◆試験結果
①粒径分布データ


②比較データ
a.設定別、SMPSvsPPS-DTの個数濃度計測データ比較

b.設定別、SMPSvsPPS-DTの中位径計測データ比較


c.PPS-DTvsPPS-Mの個数濃度計測データ比較


◆実験結果に対する考察
1.今回の比較試験では、SMPSの計測粒径範囲(6~224 nm)に対して、PPS-DTの計測粒径範囲(23 nm~)の違いが計測結果に影響していると考えられるた
  め、データの解釈には留意が必要である。また、計測データの時間応答性や、サイズ感、操作性など、それぞれの計測機器の特徴があり、PPS-DTはSMPS
  に対して使いやすさの特徴がありながら、より精度が向上した点を試験により評価したい。
2.SMPSとPPS-DTセンサーの個数濃度比較の差は、設定1、2の平均で約50 %、中位径は同じく設定1、2の平均で21 %であった。
3.SMPSを基準としたとき、PPS-DTの測定結果は、個数濃度が少なく評価される傾向であり、中位径は大きく評価される傾向である。
4.PPS-DTとPPS-Mの個数濃度の比較結果について、SMPS評価中位径が28 nmの設定1は184 %の差が考えられる。一方、SMPS評価中位径が33 nmの
  設定2は32 %の差となり、粒子径分布が PPS-Mの基準中位径に近い値になったことで、PPS-DTとの差が少なく評価されていると考えられる。
  PPS-DTの購入を検討いただいている方や、PPS-Mのバージョンアップを検討いただいている方は、本ダイレックレポートをぜひご活用ください。
  また、レポート内容についてご質問等ありましたら以下までお問い合わせください。

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TEL: 03-5367-0891 mail: info@tokyo-dylec.co.jp

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