バイオロジカルクリーンルーム
バイオロジカルクリーンルーム(Biological Clean Room, 略語BCR)とは、医薬品製造施設をはじめ、病院 、動物実験施設、各種研究室などでの細菌による汚染防止や食品工業の腐敗菌防止 、再生医療施設、細菌の影響を受けない清浄動物の飼育など、粉塵だけでなく微生物や細菌も除去するクリーンルームです。バイオロジカルクリーンルームでは、空気清浄度と微生物学的清浄度が求められます。医薬品製造の分野では、
・WHO-GMP: World Health Organization Good Manufacturing Practice
・USP: The United States Pharmacopoeia
・cGMP: (FDA)current Good Manufacturing Practice
・EU-GMP: European Pharmacopoeia Good Manufacturing Practice
・JP: Japanese Pharmacopoeia(日本薬局方)
などの規格があります。
バイオロジカルクリーンルーム(BCR)の基礎知識(日本工業出版)より
規格比較
清浄度レベルは、空気中の浮遊粉塵量により定義されます。各規格は下記のように規定されています。
医療施設におけるバイオクリーンルーム分類
医療施設におけるバイオクリーンルームは、5種類の区域に分けられます。第Ⅰ~Ⅲ区域は、高度な清浄度が要求されています。
空気清浄度の測定
パーティクルカウンターによる清浄度(浮遊微粒子濃度)の測定
測定原理
パーティクルカウンター(微粒子計測器)は光散乱方式を用いており、粒子にレーザー光を照射した場合に発する散乱光をフォトディテクターへ集光し、電圧信号に変換することで、電圧信号の強さより粒子径の情報、電圧信号の個数で粒子個数の情報を得ることが可能となります。
粒子個数測定
ハンドヘルドパーティクルカウンター AeroTrakシリーズ
・軽量で持ち運びが容易なハンディータイプ(9303, 9306)、コンパクトな卓上タイプ (9310 / 9519 / 9350 / 9550, 9110)
・場面によって、小流量 (2.83 L/min)と大流量 (50 L/min)を選択※1
・ナノサイズ (最小100 nm) ~ 数十 μm (最大25 μm) の測定レンジ※2
・計測器単体での使用や、施設の監視システムと一体化した使用が可能 (9310 / 9519 / 9350 / 9550, 9110)
AeroTrakシリーズ製品比較
ナノ粒子カウンタ(CPC/凝縮粒子) AeroTrak 9001
ISOクラス1やクラス2のスーパークリーンルームの清浄度管理
仕様
粒径範囲:0.01~1 μm
粒径チャンネル数:1ch
吸引流量:2.83 L/min
最大可測粒子濃度:57,000,000個/28.3L ※計数損失10%以下
偽計数:<0.07個/28.3L
特徴
•凝縮液に超純水またはDIウォーターを使用するためISOクラス1やクラス2のスーパークリーンルームの清浄度管理に最適
•従来品より大流量を実現、偽計数が非常に低く、自己診断機能を搭載したことで超クリーン環境でも高精度な測定が可能
•本体に10,000件分のデータを自動保存、USBメモリやダウンロードソフトを使ってパソコンへデータを転送
•高圧ディフューザーと併用することで高圧ガス(CDA,N2,Ar)配管内のナノ粒子の測定も可能※
•FMSソフトウェアと併用してシステム構築も可能※
リアルタイム浮遊菌カウンタBIOTRAKTM Model 9510-BD
気中微粒子+浮遊菌をリアルタイム測定
仕様
最小粒径:0.5 μm
粒径チャンネル数:6ch (0.5, 0.7, 1.0, 3.0, 5.0, 10) μm
吸引流量:28.3 L/min
最大可測粒子濃度:820,000個/28.3L
偽計数:1個以下/5 min
特徴
•1台で二役【清浄度監視+微生物監視】
上部に微粒子測定部(パーティクルカウンタ)、下部に微生物検出部を搭載していることで、清浄度と微生物を同時に測定することが可能
•2段階の検出感度から選択
検出感度の設定は、測定対象エリアの清浄度レベルに応じて選択することが可能
清浄度の高いエリアには高感度設定、清浄度の低いエリアでは干渉物が多いことが予想されるため、低感度設定でのモニタリングが最適
• 捕集された微生物の分析
測定器にオフライン分析用の捕集フィルタが備え付けられています。捕集フィルタを取り外して、培養後に標準的な公定法や微生物迅速検査法 (RMM) により分析が可能
第3世代エアロゾル管理プラットフォーム Model AERO3G®
感染症研究のための吸入・制御システム
AERO3G®はアメリカ陸軍感染症医学研究所により開発されたシステム制御技術(特許技術)を用いており、感染性エアロゾルやウイルスの研究に適しています。システムの環境モニタリングと流量制御(乾燥希釈空気、加湿希釈空気、発生器流量)やエアロゾル粒径分布計測器(例:TSI社APS 3321、PALAS社WelasPromo)との統合機能を有しており、リアルタイムにデータが記録されます。
応用例
・環境条件による感染性エアロゾル粒子の挙動研究
・感染性エアロゾル粒子のばく露粒子サイズと誘発された疾患経過との関係調査
・ウイルスやウイルスを含むマイクロ飛沫などのエアロゾルを発生させる動物ばく露実験
特徴
・USBおよびRS-232ポートはプラグアンドプレイ拡張に対応
・追加デバイスをコントロール
・提携先の分析機器を統合
ISO 14644-3の清浄回復性能試験に用いる発生装置
ISO 14644-3の清浄回復性能試験は、非一方向エアフローシステムにおいて、希釈によって浮遊粒子の濃度を低減する装置の能力を判定するために行われます。粒子発生後の清浄度回復機能は、設備の最も重要な能力の 1 つだと考えられます。
粒子発生装置は、熱、油圧、空気圧、音響、化学、または静電方法によって、粒径範囲 0.1 μm~1.0 μm の粒子を一定の濃度で発生させることができるものです。
エアロゾル源は、通常、次の物質が大気中への噴霧または噴霧によって生成するエアロゾル、液体または固体エアロゾルを使用します。必要な濃度が得られる場合には、大気中のエアロゾルも使用されます。
a) poly-alpha olefin (PAO) oil, 4 centistokes PAO
b) dioctyl sebacate (DOS)
c) di-2-ethyl hexyl sebacate (DEHS)
d) dioctyl (2-ethyl hexyl) phthalate (DOP1)) (e.g. CAS No. 117-81-72))
e) food quality mineral oil (e.g. CAS No. 8042-47-5)
f) paraffin oil (e.g. CAS No. 64742-46-7)
g) microspheres with an appropriate diameter
ISO 14644-3より
エアロゾルアトマイザー 3079A
粒子発生装置
仕様
粒径範囲:0.2~1 μm(エアロゾル材料による)
粒子濃度:>108 個/cm3
発生流量:最大 5 L/min
特徴
•粒径分布及び個数濃度を安定発生(参考:DOSで0.2~0.3 μm)
•DOP, DOS, PSL, NaCl粒子等さまざまなエアロゾル発生が可能
•軽量・小型で、且つ強固な設計
•低ノイズの小型コンプレッサ内蔵で取り扱いが容易
バッテリー式エアロゾル発生器PAG1000
粒子発生装置
仕様
発生流量:0.9~6.5 L/min
発生粒子:表は Dosのエアロゾル発生例(材料により変化します。)
発生条件: 温度:22 ℃ 湿度:50 % 大気圧:1013 mbar
特徴
•本体が小型設計(5kg)の為、持ち運びが容易
•内部バッテリーで約6時間の稼動が可能
•低濃度でも安定発生
•使いやすい操作性
微生物(浮遊菌)制限値の比較
製造環境、医療環境などでは、空中浮遊微生物濃度の基準をTable 1のように各機関が定めています。代表的な測定方法についてTable 2に示しています。
アンダーセンバーブルサンプラーAV-100
空中浮遊菌測定器の捕集性能試験方法
仕様
粒径範囲:0.65~7.0 µm
粒径分類:6段階
吸引流量:28.3 L/min
材質:アルミニウム
ペトリ皿:Φ 90 mm
特徴
•空気動力学径の粒径分布評価が可能
•多段・多孔式ジェットノズルを備えたインパクター方式を採用
•0.65 ~ 7.0 µmの範囲で粒径サイズを6段階分級
•寒天培地以外の培地でも使用可能
バイオエアロゾルサンプラーシリーズ315 BioSpot – VIVASTM Sampler
PCR検査用バイオエアロゾルサンプラー
仕様
サンプリング流量:8~15 L/min
粒径範囲:0.005~10.0 µm (湿式捕集)
捕集率:> 90% ※対象:疎水性および親水性粒子
凝縮液:蒸留水グレード以上の清浄な水
捕集培地:水、バッファー液、または栄養ブロス
エアロゾル条件:0~40 ℃ ※非腐食性ガスに限る
特徴
•浮遊ウィルスなどの微小なバイオエアロゾルを高効率で捕集
•人が呼吸する平均流量と同等する流量 (8 L/min)でサンプリング、または8~15 L/minで調整
•バイオエアロゾルの生存率を維持
•サンプルを液体に濃縮捕集
•ゲノム解析のためのDNA / RNAの即時保存
応用例
・空気感染による伝染病(飛沫粒子など)
・環境マイクロバイオーム(細菌叢)
・公共、交通、医療、農業現場における感染症の監視
・クリーン製薬無菌製造における生物汚染モニタリング
・国防/国土安全保障省の生物監視
・呼気中粒子状凝縮物の非侵襲的な医療診断
バイオエアロゾルサンプラーBSS302 BioSpot – GEMTM Bioaerosol Sampler
PCR検査用バイオエアロゾルサンプラー
仕様
サンプリング流量:1.2 L/min
粒径範囲:0.01~10.0 µm (湿式捕集)
捕集率:95%
粒子濃度:0~105 個/cm3
凝縮液:蒸留水グレード以上の清浄な水
捕集材:無菌スワブ(綿棒)
エアロゾル条件:0~40 ℃ ※非腐食性ガスに限る
特徴
•ゲノム保存剤でコーティングされた無菌スワブ上への高品質な濃縮サンプル捕集
•10 nm~10 µmの幅広いサイズのエアロゾル粒子を高効率で捕集
•装置は簡単操作で小型・軽量・静音設計
•PCR検査やDNAシークエンシングなどの分析への応用が容易
応用例
・空間中の感染症ウイルスの継続モニタリング
・多地点でのバイオエアロゾルサンプリング
・工場、病院、農地など様々な環境に対応
・現場作業者の方による簡易サンプリング
粒子計測に関する装置は東京ダイレックにご相談ください
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TEL: 03-5367-0891 mail: info@tokyo-dylec.co.jp