概要
薬物構成粒子の粒径、形状、表面特性等物理的特性は、薬物の反応速度や溶解速度、圧縮性や流動性などの幅広い特性に影響を及ぼすことがあり、医薬品分野における粒子サイズや濃度は、薬の効果や安全性という点で非常に重要だと考えられます。
近年、原薬や医薬品をナノレベルまで微細化する研究が盛んになっています。その理由は、ナノサイズの粒子は生体に対して刺激が少ないこと、吸収性に優れ,効率よく伝達されるなどの特徴を持っているからです。このことを利用してより有用性の高い医薬品が開発・実用化されています。ここでは、粒子の発生、粒径分布測定・評価方法について測定器またはシステムを提案致します。
吸入製剤評価 【製品一覧】
吸入剤とは有効成分を液体又は固体の浮遊微粒子(エアゾール) として吸入し,気管支又は肺に直接適用する製剤です。呼吸器疾患に対しては、吸入剤は経口投与に比較して幾つかの利点があります。
- ●標的となる気管及び肺に直接作用するため、より少ない用量で効果が得られる
- ●全身曝露を回避できることから副作用の軽減を期待できる
吸入剤の種類としては、
- ・吸入粉末剤(粉末を吸入)
- ・吸入液剤(液体を霧化して吸入)
- ・吸入エアゾール剤(有効成分を噴射して吸引)
これに対する評価方法としては、空気力学径でのサンプリングが可能なアンダーセンカスケードインパクター(ACI)などがあります。また、TSI社製APSスペクトロメーター(モデル3321)は、 0.5~20 μmを52CHの高分解能を持ち、リアルタイム計測が可能な装置で、個数濃度評価・体積評価・重量評価を短時間で測定することが可能です。
また、動物を用いた吸入実験では、医薬剤の粒子を発生することが必要で、粉体状(乾式)/液体状(湿式)からの粒子発生装置が使われています。さらに、吸入された粒子はどのような粒径分布かは測定しなければなりませんので、ここで、医薬剤の発生装置及び吸入粒子粒径分布測定装置を紹介致します。
参考資料
細胞曝露評価 【製品一覧】
近年、科学技術の発展により、化粧品を中心に医薬品・農薬等の研究開発、品質管理、安全性評価では、代替試験法( In vitro試験法)を多く用いられました。 In vitro試験法は、動物愛護・福祉面のみならず、経費、時間の削減など様々な利点があり、医薬品の安定性、毒性、薬理作用などの研究に有効です。
肺胞をモデル化した実験系ALI (Air Liquid Interface)は、CREST(細胞外微粒子)の研究成果として、金沢大学理工研究域フロンティア工学系の瀬戸章文教授と共同開発致しました。本システムは空気中に浮遊している粒子・エアロゾルなどの生体外微粒子や生体内微粒子(エクソソーム等)を肺胞に模した実験系ALI(Air Liquid Interface)に気液界面培養した細胞へ沈着投与し、細胞応答に与える影響を確認することが出来るツールです。分級試料を用いて、微粒子のサイズと化学成分が細胞応答に与える影響の解析に役立ちます。
※本システムはCREST(細胞外微粒子)の研究成果として、金沢大学理工研究域フロンティア工学系の瀬戸章文教授と共同開発致しました。
医療施設・医薬品製造区域等の清浄度管理 【製品一覧】
新型コロナウイルスの感染経路には、「接触」、「飛沫」、「飛沫核」の3つがあるとされています。飛沫核感染とは、ウイルスエアロゾルが空気中に浮遊し、人体に吸い込むことによる感染経路で、換気状態を適切に管理すれば感染確率を低減できる可能性があります。病院内でクラスター感染が起きた際、対策として空気質を可視化することが重要だと考えられますので、ここで空気質モニターを紹介致します。
また、手術室のような医療施設、医薬品製造区域をはじめ、実験動物施設、各種研究室、再生医療施設では、粉じんだけでなく、微生物や細菌も除去する高い清浄度を要求されてます。その清浄度の測定方法について紹介致します。