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Meta社とVSParticle社(※)クリーンエネルギーへの移行を加速する初の大規模オープンソース触媒データベースをリリース

※東京ダイレックは、VSParticle社(オランダ国デルフト)の日本国内代理店です。

 

●Meta社は新たにパートナーシップを結んだVSParticle社のナノ粒子合成テクノロジーを活用し、触媒分野では最大規模
となるオープンソース実験触媒データベースを構築

●気候変動に対抗し得る触媒材料の発見を目的として、数か月という短い期間に多様な元素組成から525 種類もの材料を
合成

●新材料の発見に必要な更なる大規模実験データセットを創造し得るVSParticle社に、他の AI 企業からも高い関心

(出展:Meta FAIR)

 

2024年11月19日(オランダ国デルフト):

気候変動との戦いの中でクリーンエネルギーへの移行を加速させるため、ナノ多孔質層のスケーラブルな合成における大手イノベーターであるVSParticle(VSP)は本日、Metaの基礎AI研究(FAIR)チームおよびトロント大学(UofT)との画期的なコラボレーションによる最初の結果を発表します。

 

このコラボレーションにより、VSPの最先端のナノ多孔質層印刷技術とトロント大学のテストプラットフォーム、およびMeta AI のモデルを統合してクリーンエネルギー技術に必要な次世代材料の迅速な製造、印刷、テストを行う Open Catalyst Experiments 2024 (OCx24) が初めて実施されました。OCx24を通じて、クリーンエネルギーソリューションにおいて重要となる電極触媒材料を特定し、数百通りの元素組成の電極触媒を合成・テストし、その結果として最初にして最大規模のオープンソース実験触媒データベースを構築しました。

 

これは、本コラボ以前まで不可能とされてきた、今日の AI 主導の予測をスケーラブルな現実世界の製品に落とし込むために必要となる重要なマイルストーンです。この研究成果は、計算モデルと実験研究の間のギャップを埋めることができる重要なブレークスルーであり、大規模なクリーンエネルギーソリューションの実現にさらに近づきます。

 


Meta AI リサーチディレクター Larry Zitnick氏:
「このコラボレーションを通じて、私たちは材料発見の新たな境地を切り開いています。これは、クリーンエネルギーソリューションに不可欠な材料を予測し検証する能力の大きな飛躍を意味します。電極触媒の結果が示すように、AIには現実世界で緊急の気候問題に対処するためのポテンシャルがあります。」


 

電極触媒のコードを解読する

電極触媒は、二酸化炭素還元反応 (CO2RR)、水素製造、次世代バッテリーなどのクリーンエネルギープロセスで大きな役割を果たし、産業の脱炭素化と地球規模の気候目標の達成に重要です。これらの触媒の発見を加速させるために、Meta FAIR チームは、 数か月ではなく数時間でエネルギー変換プロセスの候補となる電極触媒組成を特定するAIモデルを開発してきました。ただし、これらのAI予測をスケーラブルな形で実用化することは依然として複雑な課題であり、通常は最大15 年かかることもあります。同時に、最適な電極触媒材料を予測するように AI モデルをトレーニングするには、これまでにない大規模で多様な実験データセットが必要です。

(出展:Meta FAIR)

このギャップを埋め、発見から製造までを加速するために、VSP、Meta、トロント大学 が協力して、数百種類のユニークで多様な材料のデータセットをラボでテストし、オープンソース データベースを作成しました。ナノ粒子プリンターVSP-P1の粒子生成部では、スパークアブレーションと呼ばれるプロセスを使用して材料を蒸発・ナノ粒子化することができ、これを用いて、AI が CO2RR)に最適な候補として予測した 525 種類の材料ナノ粒子を合成しました。

 

合成されたナノ粒子はVSP-P1プリント部にてナノ多孔質薄膜として基板上に堆積され、トロント大学の高スループットパイプラインによって、さまざまな産業条件下での性能テストが実施されました。VSP独自のナノ粒子アプローチより、要求スケールに応じたナノ多孔質材料を作成するために必要となる高度な自動化と速度を実現し、研究者は粒子のサイズと組成をより細かく制御できるようになりました。他の技術では、これほど多数の新しいナノ多孔質材料を合成するのに数十年かかるため、このプロジェクトは不可能だったでしょう。

 

研究成果は実験データベースに取り込まれ、研究者はそこから AI 予測を現実世界の結果と照らし合わせて検証し、主要な化学反応に有用である可能性のある低コスト触媒を数百種特定することができました。そして、そのデータベースは AI と ML (Machine Learning; 機械学習)予測のトレーニングとさらなる改良に利用できるようになりました。最大の実験データセットの構築に続き、このプロジェクトでは記録的な 2,000 万回のコンピューター シミュレーションを実行しました。これは、同種の計算としてはこれまでで最大規模であり、今後はプロセスのスケールアップのためにさらに大規模なデータベースを構築するために使用できます。

 


VSParticle社共同創設者兼CEO、Aaike van Vugt氏;
「Metaとトロント大学との提携は、前例のないスピードでユニークな電極触媒を生産することで、長年の理論を検証するだけでなく、発見から実用化までのタイムラインを短縮し、何十年も先端材料の開発を妨げてきたボトルネックを解消します。Meta社とトロント大学の重要な研究を現実のものにするために、短期間でこれほど多くのユニークなナノ多孔質材料を提供できる技術は、世界で当社にしかありません。私たちは協力して、次世代のクリーンエネルギーシステムを動かすために必要な材料を緊急の気候危機に対応可能なペースで発見し実用化できることを証明しています。」


 

材料発見のコードを本当に解読するには、10,000~100,000 種類の材料をテストして構築されたはるかに大規模な実験データセットで AI モデルをトレーニングする必要があります。VSPの技術は、電極触媒として高い性能を持つナノ多孔質薄膜をこれほど大量に合成できる唯一の技術であるため、同社はフランスのソルボンヌ大学アブダビ校、アメリカ・サンフランシスコのローレンスリバモア国立研究所、アメリカ・シカゴの材料発見研究所 (MDRI)、オランダ基礎エネルギー研究所 (DIFFER) など、さらに多くの組織と協力しています。

 

このプロジェクトと並行して、VSPは将来的にさらに高速かつ効率的なものにするべく自社の技術をスケールアップしてきました。現在のVSP-P1プリンターは1 秒あたり 300 回のスパークで稼働していますが、チームは1 秒あたり 20,000 回のスパークにまで増やした新しいプリンターの開発にも取り組んでいます。これにより触媒研究をさらに加速させることができる他、特に、VSPのコア技術をスケールアップすることで、多孔質輸送電極の製造に必要な材料を産業界のニーズに応じた規模で印刷しグリーン水素生産をサポートできるようになります。これは、VSPが機器台数の削減、省エネルギー化、自動化を推進することで、生産コストを現在よりも85 %削減でき、グリーン水素生産の重要な観点であるコスト面において最も競争力の高い生産技術になり得ることを意味しています。

 

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